さて、ウルトラ強行軍で行く羽目になった石見銀山ですが、
その核心である「龍源寺間歩」を目指して借りた電動自転車を
漕いで、そして歩いて向かいました。
何の予備知識もなければただの穴で
「ふーん」
で終わってしまうのですが、たまたま居合わせた
よその方の雇ったワンコインガイドの話を聞くに、
「三十長生き」
をキーワードに紡がれる、屍と歴史と偶然の
積み重ねの遺産がそこにありました。
肝心の龍源寺間歩に突入しますが、
まぁ端的に言えばただの洞穴です。
ところどころ、鉄骨の架構で支えられています。
自分はカメラでかろうじて生えている雑草を撮り、
歴史におおよそ興味のなさそうなメンツはさっさと
先に行ってしまいました。

今はもう雑草しかそこに生きていません。
そしたらば、どこかの誰かが雇ったと思われる
ガイドさんが、メインルートから脇にそれる横穴で
ロウソク一本の明かりの意味合いについて語って
いました。ロウソクの灯りがないとほんと真っ暗なんです。

LEDで照らされてようやく撮れてます。この光でかろうじて雑草が生えています。
たしかに、坑道はLEDライト等で不自由しないほどの
明るさは確保されて居ましたが、F1.4xISO3200でも
結構シャッタースピードが遅くて困ってしまいした。
ガイドさんが仕切りに言っていたのは
「30長生き」
ガイドさんの話には何度もそのキーワードが現れます。
- 銀を掘る人間は、暗い中をサザエの貝殻にエゴマの油を
入れて灯した「螺灯」を手に銀を掘っていた。OLYMPUS CORPORATION E-M1MarkII (50mm, f/1.4, 1/2500 sec, ISO200)
螺灯を持っています。アンダースローではありません。※絵で銀掘りは螺灯をアンダースロー気味にもっていますが、確か滴り落ちる
水で灯が消えないようガードしていた・・・という話だった気がします。 - 掘っている間は螺灯の煤を絶え間無く吸ってしまうため、
銀掘りは長生きしても30までしか生きられかった。 - そんなリスクを負ってでも、現在では考えられない、
極めて高い報酬を求めて銀を掘りに来ていた。 - 銀を掘る人間の屍の元に生み出された銀は海を渡り、
中国を経て、ヨーロッパにもたらされていた。 - ヨーロッパの商人は中間マージン抜きの安い銀を求めて、
直接日本を目指すようになった。 - それにより、ヨーロッパと日本に交流が生まれ、銀と
引き換えに鉄砲やキリスト教などの欧州文明が日本に
もたらされた。
すげーざっくりまとめましたが、それはたしかに日本の、
あるいは世界の歴史を象る価値のあるストーリーですよね!
ざっくりしない話は現場でちゃんと聞いた方が絶対
価値があると思います。ザキさんがはっきり書かないのは、
これから行く人の行く意味を削いでしまうことと、
疲れで忘れて抜け落ちている部分があるからなのですタイ。
たまたまそこに、誰かが雇ったガイドさんがいたので、
ラッキーなことにこの世界遺産の価値を知ることができました。
今度来た時は容赦なくお金を払ってお話を全部聞こうと
思います。
できれば、疲れていないコンディションで・・・orz
坑道を出ると、あとは佐比売神社を経て自転車置き場に
戻るルートを辿るだけです。神社はルートから10数m高い
ところにあったので、華麗にスルーしました。

今回は華麗にスルーしました。
その途中で香袋を売る店がありましたが、個人的には
気に入りました。クロモジなどの石見銀山の周辺に生える
香木と輸入ハーブをブレンドしたものですが、車用芳香剤の
ように具合が悪くなるほどガンガン香る感じがしなくて
すごくちょうどいいんです。車に一袋ぶら下げていますが、
ほんとちょうどいい感じです。一袋650円ぐらいします。

まさしく薬を調合するような、あんな感じの道具が。
電撃ツアーだったので大した成果を期待していませんでしたが、
大した成果を得ることができて大満足でした。
【追記】
この大田市のキャラクター「らとちゃん」ですが、
御存知の通り螺灯をモチーフにしたキャラクターです。
よー考えたら、螺灯の煤で多くの銀掘りの命を蝕んでいたのを
鑑みると、トンデモない暗黒歴史を背負ったキャラクター
ですよね。ゆるキャラグランプリ2017にエントリーしてますが、
ちっともゆるくねーですよ。一票入れときましたが。
つづく