石見銀山に行く(2)

さて、ウルトラ強行軍で行く羽目になった石見銀山ですが、
その核心である「龍源寺間歩」を目指して借りた電動自転車を
漕いで、そして歩いて向かいました。

何の予備知識もなければただの穴で

「ふーん」

で終わってしまうのですが、たまたま居合わせた
よその方の雇ったワンコインガイドの話を聞くに、
「三十長生き」
をキーワードに紡がれる、屍と歴史と偶然の
積み重ねの遺産がそこにありました。

肝心の龍源寺間歩に突入しますが、
まぁ端的に言えばただの洞穴です。
ところどころ、鉄骨の架構で支えられています。

自分はカメラでかろうじて生えている雑草を撮り、
歴史におおよそ興味のなさそうなメンツはさっさと
先に行ってしまいました。

OLYMPUS CORPORATION E-M1MarkII (50mm, f/1.4, 1/100 sec, ISO2000)
今はもう雑草しかそこに生きていません。

そしたらば、どこかの誰かが雇ったと思われる
ガイドさんが、メインルートから脇にそれる横穴で
ロウソク一本の明かりの意味合いについて語って
いました。ロウソクの灯りがないとほんと真っ暗なんです。

SONY SLT-A77V (35mm, f/2.8, 1/6 sec, ISO1600)
LEDで照らされてようやく撮れてます。この光でかろうじて雑草が生えています。

たしかに、坑道はLEDライト等で不自由しないほどの
明るさは確保されて居ましたが、F1.4xISO3200でも
結構シャッタースピードが遅くて困ってしまいした。

ガイドさんが仕切りに言っていたのは
「30長生き」
ガイドさんの話には何度もそのキーワードが現れます。

  • 銀を掘る人間は、暗い中をサザエの貝殻にエゴマの油を
    入れて灯した「螺灯」を手に銀を掘っていた。

    OLYMPUS CORPORATION E-M1MarkII (50mm, f/1.4, 1/2500 sec, ISO200)
    螺灯を持っています。アンダースローではありません。

    ※絵で銀掘りは螺灯をアンダースロー気味にもっていますが、確か滴り落ちる
    水で灯が消えないようガードしていた・・・
    という話だった気がします。

  • 掘っている間は螺灯の煤を絶え間無く吸ってしまうため、
    銀掘りは長生きしても30までしか生きられかった。
  • そんなリスクを負ってでも、現在では考えられない、
    極めて高い報酬を求めて銀を掘りに来ていた。
  • 銀を掘る人間の屍の元に生み出された銀は海を渡り、
    中国を経て、ヨーロッパにもたらされていた。
  • ヨーロッパの商人は中間マージン抜きの安い銀を求めて、
    直接日本を目指すようになった。
  • それにより、ヨーロッパと日本に交流が生まれ、銀と
    引き換えに鉄砲やキリスト教などの欧州文明が日本に
    もたらされた。

すげーざっくりまとめましたが、それはたしかに日本の、
あるいは世界の歴史を象る価値のあるストーリーですよね!

ざっくりしない話は現場でちゃんと聞いた方が絶対
価値があると思います。ザキさんがはっきり書かないのは、
これから行く人の行く意味を削いでしまうことと、
疲れで忘れて抜け落ちている部分があるからなのですタイ。

たまたまそこに、誰かが雇ったガイドさんがいたので、
ラッキーなことにこの世界遺産の価値を知ることができました。
今度来た時は容赦なくお金を払ってお話を全部聞こうと
思います。
できれば、疲れていないコンディションで・・・orz

坑道を出ると、あとは佐比売神社を経て自転車置き場に
戻るルートを辿るだけです。神社はルートから10数m高い
ところにあったので、華麗にスルーしました。

OLYMPUS CORPORATION E-M1MarkII (50mm, f/1.4, 1/100 sec, ISO640)
今回は華麗にスルーしました。

その途中で香袋を売る店がありましたが、個人的には
気に入りました。クロモジなどの石見銀山の周辺に生える
香木と輸入ハーブをブレンドしたものですが、車用芳香剤の
ように具合が悪くなるほどガンガン香る感じがしなくて
すごくちょうどいいんです。車に一袋ぶら下げていますが、
ほんとちょうどいい感じです。一袋650円ぐらいします。

OLYMPUS CORPORATION E-M1MarkII (50mm, f/1.4, 1/100 sec, ISO640)
まさしく薬を調合するような、あんな感じの道具が。

電撃ツアーだったので大した成果を期待していませんでしたが、
大した成果を得ることができて大満足でした。

【追記】
この大田市のキャラクター「らとちゃん」ですが、
御存知の通り螺灯をモチーフにしたキャラクターです。
よー考えたら、螺灯の煤で多くの銀掘りの命を蝕んでいたのを
鑑みると、トンデモない暗黒歴史を背負ったキャラクター
ですよね。ゆるキャラグランプリ2017にエントリーしてますが、
ちっともゆるくねーですよ。一票入れときましたが。

つづく

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